佐竹藩・江戸上屋敷跡の碑
去る昭和36年(1961)5月同所でビル建設の際、その地下3メートルのあたりから「佐竹家」の鐙瓦数枚が出土した。この瓦は扇に日の丸の紋もあざやかに金箔をほどこし、豪放華麗な桃山文化を継承した江戸初期の大名屋敷を偲ばせるものだった。この他鳩笛、キセル、塩つぼ、とっくり、盃、印鑑、土人形、木製上水道管など、多数の出土品を数えた。これらを後世に伝えるべく当時ビルの建築主、故金杉寅雄氏が、この石碑を建立したものである。
現在はビルの所有者も変わったが、その石碑は幸いにも維持され、出土品の殆どは千代田区文化財保護調査員の渡辺浩助氏の尽力により「四番町歴史民族資料館」にて保存されている。これらの発掘により、慶長15年(1610)から天和2年(1682)の大火で、藩邸が下谷に移るまで佐竹家秋田二十万五千石の上屋敷がこの地にあったという歴史的事実が実証された意義は大きい。